7.(概要)IT戦略本部の報告書の項目に「添付書類の見直し(省略・電子化)」として,「申請者の負担
軽減という観点から,より一層添付書類の削減や電子化に取り組む必要がある。」とある点を踏まえた
骨子にすべきである。
- (意見)新改革戦略評価専門委員会や電子政府評価委員会が何をどう評価しているのか,疑問の
余地がないわけではないが,その報告書に「オンライン利用促進に向けた環境の整備」の項目に「添
付書類の見直し(省略・電子化)」として,「一部の手続きにおいて添付書類の省略等の取り組みが行
われていることは評価できるが,申請者の負担軽減という観点から,より一層添付書類の削減や電子
化に取り組む必要がある。特に行政機関が保有する情報を添付させるものについては,システム連携
の促進等によって,申請者の添付省略を進めるべきである。」と述べられていることをまったく考慮して
いない点は甚だ遺憾である。不動産登記申請だけ,他の申請とどれほど特別に考えているのか不明
であるが,登記の歴史を紐解き,まず日本や諸外国の登記制度をいちから見直すことや,すでに法務
総合研究所の「研究報告」http://www.moj.go.jp/HOUSO/houkoku/keisai-kiji/icdnewsno.17_2.pdfや
「日本とドイツにおける不動産公示制度の研究」(大場浩之早大准教授の博士論文
http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/28842/3/Honbun-4615.pdf)のような優れた
論文なども公表されているので今一度読み直すと,その中から「電子申請には電子申請なりの構造」
を再構築するために参考に出来ることもあるので,ぜひ添付の文献をお読みいただきたい。特に,元
来「登記済証は添付書類ではなかった」という新谷正夫先生の論稿(添付3)はもちろん,登記制度研
究における古典といわれる福島正夫先生や渡辺洋三先生の登記制度に関する著作や清水誠先生の
最近の論文「三度,市民法の劣化を憂える-不動産登記法の2004年改正について-」(渡辺洋三先
生追悼論集『日本社会と法律学-歴史,現状,展望』2009年3月10日日本評論社発行)(添付2)
は,国民にとっての登記制度の将来を見据えるものとして,必読である。
御意見として承りました。
なお,省庁間で情報を共有すること等により添付情報を省略することに
関する意見に対する考え方については,項番152のとおり。